太気拳至誠塾・大阪 拳法ブログ ドラゴンへの道

太気至誠拳法(太気拳)を修練する団体・・太気拳至誠塾・大阪の練習風景・・練習内容をつづったブログです。

発剄と攻防一体の理念

相手の体や急所に確実に攻撃を加えるためには、
威力を変えずに、
距離を短かくすれば良いということを述べた。

中国拳法には、相手の体のわずか二~三センチほどの
距離から突いて倒してしまうような打撃方法がある。
これは中国拳法の攻撃技術から考えて、
もっとも大切な基本であるとともに、秘伝でもある
寸勁」という打撃方法である。

寸  とは三センチほどの長さを示し、
勁  とは圧縮された力を意味する。
つまり三センチほどの距離から拳で、トン・・と突いて
相手を倒す打法である

又、さらに相手の体に
拳をくっつけてから打ち倒す方法を、
寸より短かいという意味で「分勁」
それらを総称して「発剄」
その力を「発力」と言います。

では、どうしたら威力を変えずに距離をちぢめられるのか。
初歩的な説明として、
大工道具のキリやドリルを考えてもらえば良い。
回転させることによって、遠い距離から打つこともなしに、
穴をあけてめり込んでいくのである。

 又、特殊な身法(体の使い方)によって拳を重くしたり、
急に強く打ち出させたりすることができるのである。
 (太気拳の得意とするところ)

たとえば、おはじきを指ではじくとき、
人差指と親指で輪を作り、人差指に軽く力を入れ、
親指を瞬間的に離してやれば、
かなりの勢いで おはじきは飛んで行くものである。


  円と面の中国拳法


相手が正面から攻撃してきたら、多分よけるであろう。
よっぽど変った人でない限り、好んで打たれたりはしないものである。
もしもあなたが攻撃されたらどうやって逃げたり、かわしたりするか?
想像してみて下さい。

 相手のスピードが自分よりある時、まっすぐ退くとまず命とりになる。
これは当然。
ならばどうするか? 角度をかえれば良いということは、
いわなくともすぐ答えが出てくると思う。
 要するに角度をかえる、
つまり相手の攻撃ラインに対して、
ある程度の角度を持てば良いのであるが、
どうしたら一番無駄なく有効に角度をかえるかということが、
大切な問題となってくる。
円運動をすれば良いという人があると思う。
確かにその通りである。ではどうしてか?

 円の特徴は、円周上の点は、
中心点からすべて等しい距離にあるということであり、
この特徴を生かせば、相手に攻撃を受けた等しい距離で、
相手の攻撃をかわすと同時に、
こちらの攻撃範囲の距離を得られるからである。(テリトリー)
すなわち防衛と攻撃が時間的ズレがなく同時にできるである。

この単純な円の幾何学的原理の応用で、
常に優位な攻撃体勢を得られるということになるのである。


 又、いくら円の動きをしたからといっても、
相手の攻撃を受け流したりする手や足が、
点から点への線の動きでは、せっかくのムダのない動きもそこなわれてしまう。

 自分に向ってボールが飛んでくるのをよけようとしたら、
棒よりも板を使う人の方が多いと思う。
それだけ面積が広いから、よけられる確率も高いためであろう。

 素手で戦う時も板のようなものがあれば良いがそうもいかない時は、
自分の体の前方に板のようなものを考えて想定するのである。
そしてその板で相手の攻撃してくる手や足を、
角度を変えて外にはじいたり、引っ掛けたり、受け流してやれば良いのである。

 しかし、この時の手の動きも直線的であっては何の意味もない。
それでは両手で線を画いているにすぎず、
せっかくの面状の防御も
線状の防御と何ら変らなくなってしまうからである。
 
この両手の円の動きは防御のみに限ったことではなく、
その円をひとたび、斜めやだ円にして使えば防御の機能と同時に、
攻撃の機能もはたしてくれることになるから便利である。

 自分の体の正面にダ円型のチェーンののこぎりを思い浮かべてみれば良い。
相手の攻撃を、タテにしたダ円型ののこぎりの面の部分で角度をつけて受け流し、そのままのこぎりを回転させて相手を攻撃することもできるのである。
そして、このだ円型のチェーンのノコギリは、
自分の体の前にタテにして使うだけでなく、
横に二つ並べることも、水平に置くこともできるのである。


 しかし、どんなに面の防御を行なうといっても、
実際には両手を動かしているにすぎないのだから、
完全な面ではなく、すき間ができるのである。
そのために、防御には一つの秘訣が要求される。

 それは、どんな体勢になっても自分の中心線を押さえておくということである。
又、同時に相対的に、相手の中心線を押さえておく必要があが、
それは、自分の中心線を押さえるということは、
防御のみならず、攻撃時にも必要だからだ。
その要求を満たしてこそ、攻防一体のスキの無い、ムダのない、
中国拳法独特の動きとなるのである。



                           蘇東成  中国拳法の解説 より  


長くなりましたが、中国拳法の共通の基本的な理念の解説文の抜粋でした。

これらの考え方は、標準的なものなので、流派によって違ってくるのは当然です。

これらが、皆さんの疑問の解決になればと、思いますし、

より 太気拳  に興味を持っていただければ ・・・ と思います。。 

 ・・・・・・・  次回から合宿に話を戻します。