太気拳至誠塾・大阪 拳法ブログ ドラゴンへの道

太気至誠拳法(太気拳)を修練する団体・・太気拳至誠塾・大阪の練習風景・・練習内容をつづったブログです。

打撃法の発見の道程

―ある人が、ものすごく筋肉をきたえて、
ちょっとやそっとの打撃ではビクともしないような人を突いてみた。
やはりビクともしなかった。
そこでもっと力を入れて突いたがまったくだめだった。
もっともっと力を入れて突きたかったが、
の人はそれ以上の力がなく、困ってしまった。
 
 が、いつまでも困ってばかりいては自分がなぐり返されて殺されてしまう。
しかたなしに体のいたる所をあちこち打ってみた。
そのうちある所を打ったら、その突きがきいて相手が倒れた。

 その人は「おやっ」と思ったが、
そのある場所が人間の急所であることを知り、
それからは、その急所をねらって打つことにした。

 何人もの相手をためしてみて、
そこが人間にとって本当の急所であることがわかったが、
る時、何度急所をねらっても受けられてしまった。

さてどうしたら確実にあの急所に当てられるかと考えた。

 急所に近づけば確実に当てることができるが、
距離が短かく、近くなったら威力が減るのではないかと思った。
はたして、やはり きかなかった。

 どうしたら近い距離から打って遠い距離から
打つときと同じ威力を得られるかと考えた。

 その人は、とっさにある物を思い浮かべて、その原理を応用し打ってみた。
その一撃は急所を攻撃するには十分の威力を持ち、相手は倒れていた。

 どうして人間には物体にない急所があり、
単な原理の応用で死ぬのだろうか。

 以上の話は推察であるが、
これに似た多くの経験で現代にも伝わっている中国拳法の
撃方法は組み立てられていったのではないかと思う。

 例えば最初に登場した急所だが、
何も金的やみぞおちに限ったものではなく、
多くの経験によって人間の体には星の数ほどの
急所があることがわかっている。そしてそれは万人に共通なものである。

又、人間の急所は比較的体表に近いところにあるものである。
もしも体の奥深くにあるようなものならば、それも急所とはいえない。

次になぜ、人間の体が水でできているかと考
えついたかである。これはいろいろと推考できると思うが、
固体や気体のみでなく、液体が占める割合が多いということを
体験的に知ったからであろう。

 大きな鉄球を使って固体としての身体を破壊するまでもなく、
ほんのささいな衝撃で人間が死ぬのを経験した人が、
ちょうど池に投げ込んだ石が波紋を作っていくのを思い浮かべたかもしれない。

 ともかく、今の人間には想像もつかないほどの多くの人々が、
長い年月のうちに経験した結果の産物なのである。

 中国拳法の打撃の原理は、池に小石を投げ込むように
簡単なものもあり、容易に人間を死に
いたらしめてしまうために秘伝とされていて、
簡単に公開することは殆ど無いが、
人間の体内の水分にある種の波紋を起こすということが、
前提となっていて、それは拳の固さも、
長い距離もいらないということは事実である。


              ・・・・・・・・ 続く   ・・・・・・・

                       蘇 東成 著作 中国拳法の解説より